FEASIBILITY STUDY実現可能性調査

事業実現可能性調査 結果報告 2021年度

事業の経緯

  • 諸外国に対して装備品の提案活動を効果的に進めて行くためには、各国軍が対外的に公表している調達計画に留まらず、潜在的なニーズを把握することが重要
  • このため、防衛装備庁・商社・製造企業が連携して、相手国の潜在的なニーズを把握して提案に向けた活動を行う「装備品の海外移転に係る事業実現可能性調査」(FS事業)を令和2年度から実施

2021年度 調査の特徴

  • 事業を開始した令和2年度は、相手国の装備政策一般や調達計画・調達制度を重点的に調査
  • 令和3年度は、前年度の結果を踏まえ、調査を更に深掘りし、対象国の関係者等を通じ、装備品の新規導入や更新に関する潜在的なニーズ(構想段階にある計画の情報)を発掘

2021年度 調査の成果(総括)

2022年度は、インド、ベトナム及びインドネシア3か国について、前年度の調査結果を活かした事業提案を具体化するとともに、対象国の軍・企業との面談等により新たなニーズを発掘。また、新たにタイを対象国とし、装備政策一般や調達計画・調達制度を重点的に調査

2021年度調査の主要成果

  • 前年度調査をさらに深掘りすることで、対象国の装備品導入を巡る状況へさらに理解を深め、より具体的な装備品ニーズを把握することができた。また、複数の案件について事業提案に至った

2021年度調査の主要成果(具体例)

インド軍の艦艇装備品ニーズの把握
  • インド海軍が、艦艇通信技術の近代化に関心があることを新たに把握
  • 当該技術を海外からの技術移転を通じて獲得することを企図。“メイク・イン・インディア”の政策に則り、国内生産比率を高めたい考え
  • 日本側も複数の国内メーカーの共同生産により当該技術を有しており、インド側も日本からの装備品移転・技術移転に関して特に興味がある
  • 日本側関係者による現地生産能力基盤を確認するための訪印も実現
ベトナム軍の救護・救難分野での装備品ニーズの把握/
日本企業の現地拠点を活用したデュアルユース技術による近代化改修のニーズ把握
  • 自然災害への対処に問題認識を抱えており、日本の高い災害派遣対処能力を参考にしたい意向は昨年度調査より示されていたところ、予算規模はそれほど多くないことから、まずは日本の中古装備品導入へ意欲があることを新たに把握
  • あわせて、災害対処のための装備品を維持するにも国内に十分な維持整備基盤もなく、中古装備品を通じ、日本企業からの技術供与も目論んでいることも確認し、具体的にニーズのある機種を特定
  • このほか、昨年度より把握していた、日本企業の現地拠点を活用したデュアルユース技術による近代化改修へのニーズを踏まえ、関連企業による現地訪問を実施し、現地関係者に対する関連技術の説明を実施
インドネシア軍向け日本企業の現地拠点を活用したデュアルユース品の供給ニーズの把握
  • 今年度新たに、日本企業が尼に有する民生部門の生産基盤を活用し、デュアルユース品を軍向けに供給することに関心があることを現地からの報告で確認
  • 日本の関連企業間で事業の具体化に向け、移転する対象装備品の詳細を含め、検討に着手
マレーシアの装備品調達における現地エージェントの把握
  • マレーシアでは、かつての汚職体質を払拭すべく、防衛装備品を含む全ての政府調達は、競争入札が原則
  • 入札にはローカル入札と国際入札があるが、どちらにおいても、軍から登録を受けた会社でないと入札書類を入手することができず、現地パートナーの仲介は必要不可欠
  • なお、欧米諸国の政府では、マレーシアの防衛市場への参入を検討している欧米企業に対して、現地にいるエージェントと接触する機会を作るよう推奨
  • 今年度調査では、国内関連企業により、入札に必要な現地パートナーとの関係を築いたことで、海外移転に関心のある企業をサポートできる態勢を構築

令和4年度事業では、インド、ベトナム、インドネシアについて、これらの成果を更に深堀りし、案件の具体化に向けた今後の発展性が見られる事業構想の立案を求めていく。
 また、マレーシアについては、本事業の成果として、①入札に必須な現地パートナーとの関係が構築できたこと、②潜在的にニーズのある装備品の分野が特定できたこと等を踏まえ、海外移転に関心のある関係企業には今後行われる入札への応札を推奨するとともに、必要なサポートを行う。

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