FEASIBILITY STUDY実現可能性調査

事業実現可能性調査 結果報告 2023年度

事業の経緯

  • 防衛装備品の海外移転を推進するためには、相手国が公表している装備品の調達計画に留まらず、各国の潜在的なニーズを早期に把握して提案に向 けた活動を行うことが必要です。
  • このため、防衛装備庁・商社・製造企業が連携して、相手国の潜在的なニーズを把握して装備移転に向けた具体的な提案を行う「装備品の海外移転に係る事業実現可能性調査」(FS事業)を令和2年度から実施

2023年度 調査の成果(総括)

2023年度は、インドベトナム及びタイ3か国について、前年度の調査結果を活かした事業提案を具体化するとともに、対象国の軍・企業との面談等により新たなニーズを発掘。
また、新たにシンガポールを対象国とし、装備政策一般や調達計画・調達制度を重点的に調査

2023年度調査の主要成果

  • インドベトナム及びタイについては前年度調査を深掘りし、実現可能性の高い案件の事業提案を具体化
  • 新たに対象国としたシンガポールについては、装備政策一般、調達計画・制度等について把握

2023年度調査の主要成果(具体例)

インド
【方針】
  • 国内産業促進のため、輸入による装備品取得を規制し、インド国内への技術移転による国内防衛産業の技術力向上と国際的な競争力の強化の方針を打ち出している。
  • インド国内における防衛生産を奨励するため、積極的国産化リスト(以下、PIL)が公表されている。PILに含まれる防衛装備品は、インド軍(陸軍・海軍・空軍)が国内のメーカーからのみ調達することを意味し、輸入に依存する防衛装備品調達を最小限に抑えるように取り組まれている。
【スキーム】
  • インド国内にパートナー企業を見つけ、部品の供給や製造技術を移転し、パートナー企業と協業してエンドユーザーであるインド軍等に防衛装備品を納入することが現実的な選択肢。
【装備品ニーズ】
  • 艦艇のステルス性を向上させる装備品や高性能な艦艇塗料など。
タイ
【展望】
  • 現政権は、軍の規模縮小方針を打ち出している一方で、2024度国防予算は1,983億バーツ(昨年度比1.96%の増加)となる見込み。軍事力の維持強化の必要性を高める内外的要因があるため、国防予算の先行きは不透明。
【スキーム】
  • 装備品の入札においては諸外国が積極的に進出しているため競争相手が多くなる傾向にある。そのため、スペック、品質、アフターサポートなどで差別化を図り、それを要求仕様に盛り込むことが重要。
  • タイ軍の調達に纏わる情報は公になることが少なく、軍の需要や入札情報の早期収集には、軍内部へのアクセスがある現地パートナーとの協業が必須。
【装備品ニーズ】
  • 航空保安無線施設の更新に必要な装置や陸上だけでなく、海上監視に関連する装備品など
シンガポール
【方針】
  • シンガポールは東南アジア諸国の中でも国防費が比較的多い国である(例、2022年度122億米ドル)ため、常に最新鋭の装備品や実践経験のある信頼性の高い装備品を追求する傾向にある。
  • シンガポール国防省は2040年時点における将来の戦い方及び保有すべき装備品に関する構想、及び保有すべき装備品を検討している。
【スキーム】
  • シンガポール国防省調達は非常に厳格に管理されており、透明性、公平性の高い調達システムが構築されており、他国で要求される例があるようなオフセット・ポリシーは存在しないものの、多くの装備移転は、シンガポール防衛企業(ST Engineeringなど)との提携によって進められる。
【装備品ニーズ】
  • CBRN関連、日本との共通プラットフォーム関連、AI技術、UAVなど
ベトナム
【方針】
  • ロシア以外の装備品調達先を模索する動きが加速しており、日本の装備品・技術に関する期待値及び関心は高い。
【スキーム】
  • 装備品導入に当たってはベトナム国防省隷下の「国防企業」と連携することが求められる。国防省の装備品取得計画は公にならないため、国防企業や関連機関を通じ日本から主体的に提案活動・案件組成を試みる必要がある。
【装備品ニーズ】
  • 既存装備品の近代化、海外からの技術移転、災害対処装備品、CBRN対処装備品など。
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